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成績UPのヒント 難関私大入試の英語の勉強法

難関私大入試の英語の勉強法
慶應大学はじめ難関私大入試のための英語の勉強法が、丁寧に述べられています。
また、使用教材についても、余すところなく紹介されています。

著者
札幌南高校3年生のM君。シニアの元教室生で、中学・高校と指導させていただきました。受験直前期は、早くから教室に自習に来て頑張っていました。今春、慶應大学、中央大学に現役合格しています。自分の考えをきちんと持った好青年です。
内容
難関私大入試のための英語の勉強法が、丁寧に述べられています。
また、使用教材についても、余すところなく紹介されています。
自分で調べ抜いて、自分の勉強法を切り開いています。みなさんも、いろんな情報を収集して、自分なりの勉強法を確立していって欲しいと思います。

はじめに

受験英語の最終目標は、単語・イディオム(熟語)・語法・文法事項などの知識問題を除けば、長文で筆者の言いたいことをつかむことである。

そのためには一文ごとの理解が必要不可欠である。一文の理解のためには単語、イディオム(熟語)、語法、文法事項を完全にマスターする必要があるのである。

1. 単語の勉強

学校で単語帳が与えられると思うがそれは使わないで東大英単語鉄壁(以後鉄壁)を使用してほしい。鉄壁では分野ごとにsection50まであり派生語も充実しているので効率よく暗記できる。名前を聞いて難しいと思うかもしれないが(確かに途中で投げ出す人も少なからずいる)、MARCH以上の私立を受けるなら必ずマスターしてほしい。というのは私立では早慶レベルでさえ単語に下線を引きこの意味は?なんていう問題もあるからだ。その単語のほとんどが鉄壁に載っているのである。

もう一つすすめたい単語帳はDUOである。DUOの特長は例文から単語を暗記するという点である。そして日常会話をベースにしているので生きた英語であるという点である。しかしDUOから始めるとあまりうまくいかないものである。鉄壁をマスターしてからDUOの例文を暗記すると単語の使い方が理解できると同時に英作文で生きてくるのである。

単語の暗記は1回で覚えようとせず、単語帳を何周も繰り返す。覚えられない単語を別のノートに書きだすとよい。また寝る前に覚えることで脳に残りやすくなる。

2. イディオムと語法と文法事項の勉強

学校で分厚い文法書が与えられると思うが、はじめは難しいのでスクランブル、または英語標準問題集1100という文法問題集を使うとよい。イディオムと語法と文法事項の勉強は単語の勉強と違って成果が出やすい。スクランブルをやってセンター英語7割、8割とれたという声も多々耳にする。こちらの問題集をマスターしてから文法書を読むとすんなり頭に入る。

3. 細かい文法事項(スクランブルなどにはのっていない事項)

英文解釈100の技術を使ってほしい。これは3、4文の短い文章を訳すトレーニングである。使い方は、

  1. 英文を黙読して理解する。
  2. 理解できれば、答えを見ず訳す。理解できなければ、何がわからないのかを確認する。(答えは見ない)単語がわからなければ辞書で調べる。文法事項がわからなければ、解説を読む。そして訳す。
  3. 音読しながら理解する。

4. 和訳

以上のことができれば本格的な和訳に取り組むべきである。和訳をするのは①→②→③の作業である。しかしこの作業は時間がかかり入試の時、時間が足りなくなってしまう。①→③へといけるのがベストである。私たちは日本語を母国語としているので①→②→③ができなければ①→③ができないのである。英語を英語で理解する。これを目標に和訳に励んでほしい。

またリスニング、音読をすることで①→③の結びつきが強くなるといわれている。

和訳の問題集については、初級から上級まで幅広い。以上の3つができていれば中上級から始めてよい。

中級:rise、上級:ポレポレ英文和訳演習上級編
やり方は「3(細かい文法事項)」を参照してほしい。

5. 長文演習

はじめのうちは、長文演習は自分でやるのではなく、塾や家庭教師を使って行うことをすすめたい。というのは、長文演習は制限時間を定めて緊張感を持ち、解くことが一番大事だからである。しかも予習で問題を解いてきて授業で解説という形式ではなく、授業の中で問題を解いて解説をする形式が望ましい。

問題の題材は内容が偏ったものではなく、多岐にわたる分野のほうが良い。過去問演習になるとどうしても内容に偏りが出てしまうからだ。解き終わったあとわからなかった単語と文構造を必ず確認する。

一週間後に音読して復習すると効果的。

これまで、各段階での勉強の仕方をまとめてきたが、理想的な高校3年間の勉強計画を示していく。

高校3年間の理想勉強計画

1年

スクランブル 学校の教科書

2年

単語(鉄壁→DUO) 長文週最低1題(必ず)
細かい文法事項
和訳(中級)

3年の夏休み明けまで

単語 長文週最低2題
文法書一周 志望校に合わせて○○の英語(教学社)
和訳

3年の夏休み明け

月一回(9月、10月)志望校の赤本解いて自分の足りない力を補う。
ここからは自分の志望校の問題形式だけでよい

3年11月以降

自分が何年分の過去問を解くのかを決めて解けきれるように計画を立てる。家庭学習期間になると2日に1回のペ-スで解くのが理想。中日を復習にあてる。3年分が終わるごとに音読して復習すると速読力がつく。

※私立対策をしている中で記述模試の結果が出ないときがあるが、記述模試は国立向けに作られているので一切気にしなくてよい。

慶応義塾大学英語対策

ここから慶応義塾大学の英語対策の話を進めるがその前に理解しておくべき事柄が2つあるのでその話をする。

1. 英語を英語で理解する。

慶應の英語では、「これはどういうことですか、日本語で答えなさい。」なんて問題はあまり出題されない。慶應の英語の設問はwhich of the following statements can be derived from paragraph X 、which of the following statements can best be made on the basis of paragraphなど英語である。つまり日本語を介す必要がないのだ。英語を英語で理解するためには前述したように和訳が必要である。しかし和訳の練習をしているうちに、「和訳する必要ってあるかな」と思う時がある。答えは必要ない。(国立受験、通訳になる場合は別だが、)それは英語を英語で理解できている証拠である。そして速読力がついた証拠でもあるのだ。

もう一つ英語を英語で理解するための練習はリスニングと音読である。また英英辞典を使うのも効果的である。

音読は①→②→③の作業、リスニングは②→③このように③までの過程のバリエーションを増やすことで①→③へといけるのである。

2. ロジカル・リーディング(著横山雅彦ロジカル・リーディング引用)

まず、英語の「心の習慣」について話を進める。英語の心の習慣は「論理」である。論理的でなくては英語ではないのである。

あなた:UFO is real.(UFOって実在するよね)
アメリカ人:How?(どのように?)
あなた:・・・・・・(どのように・・・って・・・)
アメリカ人:Why do you think so ?(なんでそう思うの?)
あなた:Well,I saw a TV program on UFO (テレビでUFOの番組を見たんだ。)
アメリカ人:So what?(だから?)
あなた:・・・・(だからって・・・)
アメリカ人:Just give me a reason why you think UFO is real. (UFOが本当にある理由を言ってよ)
あなた:Junichi Yaoi says so (矢追純一が言っているんだ)
アメリカ人:Who is he?I don’t know him(誰それ?知らないな)
あなた:He is a famous UFO researcher in Japan (彼は日本で有名なUFO研究家だよ)
アメリカ人:Sowhat ?Sowhy is UFO real?(だから?だから、どうしてUFOはほんとうにあるの?)

以上のような会話は日本語の心の習慣を持ったまま英語を使っていることによるものなのである。

では英語の心の習慣である「論理」はどのようなものなのだろうか。それは次のような図で表すことができる。

英語の文章はパラグラフごとに必ずこの3つが成り立っている。

次は慶應の問題と絡めてこの3つそれぞれについて話を進める。


クレーム

ここでは主張が述べられる。これはおおまかに相対的なことを定義する。相対的、つまり人によって判断が分かれるということである。たとえば、beautiful , goodなどの形容詞、will,canなどの助動詞、また、I think ~, I believe~である。

そしてこのクレームが前述した慶應の設問which of the following statements can best be made on the basis of paragraphの答になっている可能性が極めて高いのである。というのはこのbasisとclaimは一致するからである。これは慶應に限らず私大英語の問題で同じような解き方ができる。

英語の世界では相対的なことを口にすると論証責任が生じる。これが次のデータへと続く。


データ

ここでは事実が述べられる。難しく考える必要はない。入試問題では、ある人物の証言や研究結果などが述べられることが多い。このデータが前述した慶應の設問whichof the following statements can be derived from paragraph Xやwhich one of the following is true ?の答になっている可能性が極めて高い。これは慶應に限らず私大英語の問題で同じような解き方ができる。


ワラント

日本人が三角ロジックをマスターするのに一番難しいところである。先ほどのUFOの例を用いて説明する。

ここでのクレームは、「UFOは本当にある」である。そしてデータは先ほどと変えて、「今まで一度も嘘をついたことのない太郎が見た」とする。するとワラントは、「このUFOの件に関しても太郎は嘘をついていない」である。

つまりワラントはクレームとデータを結びつける役割を果たすのである。

そして難しいところは、ワラントはしばしば省略されるということである。これも例を示して説明する。

「黒人差別はよくない」というクレームに対して、「人権思想に反する」というデータを挙げたとします。この時のワラントは、「人権思想は人類の普遍的行動原理である」である。しかし、このワラントは現代人にとっては当たり前である。この場合ワラントは省略される。


以上の三角ロジックをマスターすることで入試問題に限らず今後の将来、英語を読む中で筆者の言いたいことを整理して読めると考える。

では、本題の慶應義塾大学の英語を学部ごとに分析していく。今回は受験した慶應法学部、慶應商学部、それに中央大学法学部も加える。

1. 慶應法学部

大問はすべてで5つ。1. 発音アクセント 2. 文法正誤問題 3. 会話文(ただし、半分は熟語力) 4. 語の定義 5. 長文

私立最難関の英語。特に対策はない。英語の総合力を上げることを意識する。

1. 発音アクセント:単語を覚えるときに音読して確認する。

2. 正誤問題:問題集は色々出ているので1つやってみてもいいかもしれない。しかし、これは今までの英語の勉強量で決まるので、一朝一夕でマスターできるものではない。

3. 会話文:これも総合力。しかしとても難しい熟語が出題されるので英熟語問題1000をやるとよい。これで十分に対策できる。

4. 語の定義:これは短い文章が出されその中の難単語(鉄壁に載っているものもある)の意味を英語で答えるという問題だ。英語を英語で理解する練習をしていれば、動揺せずに解けるだろう。品詞で分けることで解きやすくなる。

5. 長文:ロジカル・リーディング参照。ロジカル・リーディングの考え方が色濃く出た問題多数。

  • 近年易化傾向にあるので合格するには8割は必要となる。
  • 地歴で現浪の差がつく。

2. 慶應商学部

大問はすべてで7~8つ。1~3. 長文問題 4. 空所補充 5. 文法 6. 動詞を名詞に変えて空所補充 7.動詞の語形を変えて空所補充

大問が8つの時は短文の英問英答問題。

とにかく時間との闘い。とはいえ基礎力がなければ話にならない。4~7を30分で解き、長文を残り60分で解く。

1~3. 長文問題:1つの大問20分ほどしか時間をかけることができない。しかも問題文に下線が引かれていない問題もあるのでどこが答になっているのかも検討がつかない。1パラグラフごとに読み筆者のクレームをつかむ。わからない単語があるときには筆者は賛成なのか反対なのかのみを読み取る。問題を解くときには、選択肢同士を比べず一発で仕留める気持ちで解く。答えが決まらないときは、うまく消去法を使う。

4. 空所補充:文章を読みすすめて内容、文法的に埋めていくのが基本。問いとなっているのは熟語がメインなので前置詞とのつながりから判断できることもある。しかし、この解き方は確認程度に使ってほしい。基本的な解き方をすすめる。

5. 文法問題:慶應とはいえ基本的な事項が多い

6. 動詞を名詞に変えて空所補充:4と解き方は変わりない。ただ動詞の名詞形を正確に暗記する必要がある。規則性あり。

鉄壁で対応できる。また記述のためスペルミスは0点となる。

7. 動詞の語形を変えて空所補充:4、6と解き方は変わりない。現在分詞形、過去形、過去分詞形、三単現のsに注意する。

  • 合格にはA方式最低7割、B方式最低7割5分必要。
  • 近年数学が難化傾向にあり差がつかず(もちろん数学が得意な人には有利)英語で差がつく。

※慶應経済学部の長文も以上の2学部と同じような解き方でできる。この3学部の長文は傾向が似ている。

3. 中央法学部

大問はすべてで8つ。1. 英文和訳 2. 和文英訳 3. 共通語補充 4. 語彙問題 5. 文法問題 6. 文法正誤問題 7. 長文空所補充問題 8. 長文読解

バランスが取れ基本的な問題である。(簡単という意味ではない)英語をちゃんと勉強した人が取れるようになっている。

1. 英文和訳:前述した和訳を参照。

2. 和文英訳:(対策せずにやったのでよくわかりません)文法事項がしっかり頭に入っていれば減点を最小限に抑えてかけると思う。

3~6:これといった対策はなく英語の勉強量で決まる

7. 長文空所補充問題:内容を理解して前後の文脈から判断する。they,that,theseなどの指示語に着目すると解きやすくなる場合もある。

8. 長文読解:前述した長文の勉強ができていれば、基本的な長文読解なので特別な対策は必要なし。

※試験中の注意:試験中は頑張んないでください。自分が今までやってきた力だけを信じて落ち着いて解いてください。

最後に

今回は慶應の2学部と中央法学部を具体的に分析しましたが、この勉強方法はMARCH以上の私立を目指す方には効果的だと考えています。お役に立てれば幸いです。

この方法がすべて正しく全員に当てはまるとは考えていません。そもそも勉強方法は自分で切り開くものだと考えています。今回の良いと思ったところだけを採用して是非、自分自身の勉強法を作り上げてください。これも勉強の醍醐味です。勉強方法を身につけることで自己管理能力がつくと考えています。

模試を色々と受けると思います。私大の勉強をしているなら、記述模試はいい点数が取れなくて当たり前です。気にしないでください。対策していないのですから。その模試を参考にした進路指導は無視でいいです。

合格している人の特徴は自分の実力を客観的に見つめ、意志を貫き、志望校との距離を冷静に分析している人です。自分のことは自分が一番わかっています。

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シニアの生徒皆様の学力向上、志望校合格を心より祈っています。

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