家庭教師シニア本部 スタッフからのメッセージ

歴史から生まれた言葉たち Vol.10「酢豆腐」

(カテゴリ:専任・S村

閲覧ありがとうございます! 専任講師のS村です。

今回も、歴史の中から生まれた言葉をご紹介します。

 

本日の言葉は「酢豆腐(すどうふ)」

意味は「知ったかぶり」というもの。

食べ物の名前が何でそんな意味になるんでしょうか。

 

「酢豆腐」の由来

語源は、ある落語の演目が由来になっています。

その名も、「酢豆腐」。そのままです。

上方落語(大阪中心の落語)では「ちりとてちん」というタイトルになっています。

NHK朝ドラのタイトルにもなっていました。

 

江戸落語の「酢豆腐」のあらすじを軽くご紹介しましょう。

ある暑い日の昼、暇な若者たちが集まり、酒を飲もうという話になりました。

しかし、彼らには金がない。

酒を用意できても、おつまみを用意するのが大変です。

 

おつまみをどうやって調達するか考えているなかで、

彼らのリーダーが豆腐を買ったことを思い出します。

しかしこの豆腐、暑さの中に放置されていましたので、腐っておりました。

「参ったなァ…」と頭を抱える若者たち。

 

すると今度は、伊勢屋という店の若旦那(=お店の跡取り)が通りかかります。

この若旦那、知ったかぶり、かっこつけたがり、そして嫌な性格で、あたりの若者たちからとても嫌われていました。

 

「おい見ろ、あれァ伊勢屋の若旦那だぞ」

「ちょうどいいや、この豆腐、あいつに食わせちまおう」

と、若者たちはとんでもないことを考え出します。

 

彼らは若旦那を呼び止め、彼を引き入れてこういいます。

「そうそう若旦那、あんたに聞きてえことがあるんです」

「ほほう、なんです、何でも聞いてください」

「いやなに、海外の食い物をもらったんだが、これが何かさっぱりわからねえ。若旦那ならご存知でしょう」

そういって取り出したのはあの豆腐。

 

若旦那だって見てすぐに腐った豆腐だとわかりました。

ここで「こりゃ腐ってるよ」と言えばいいのに、引き下がれなくなってしまって、「これは酢豆腐でしょう」と知ったかぶりして答えてしまいました。

 

「ははあ、なるほど、そういう食い物なんですかい」

「そうですとも」

「さすが若旦那だ、俺らの知らねェことを知ってる。じゃあこいつァ、物知りの若旦那に差し上げるとしやしょうかい」と、若者たちは若旦那に豆腐を食べるように仕向けます。

 

彼の目の前に差し出された腐った豆腐。鼻にツーンとくる刺激臭に、目まで痛くなってきます。

それでも意地を曲げない若旦那、ついに一口食べてしまいます。おいしいはずもありません。

「若旦那、お味はいかがで?」

「うん、その、やはり、海外の味でうまい」

「そうですか、じゃあ、もう一口いかがです」

「いや、酢豆腐は一口に限りやす」

 

ここまでがあらすじ。

若旦那が知ったかぶりをしてひどい目に合うことから、落語のタイトルの「酢豆腐」がそのまま「知ったかぶり」という意味になりました。

 

「わかったつもり」は致命傷

さて、学習の話。

皆さんは知ったかぶりしていること、ありませんか?

この知ったかぶりは、「わかったつもり」という表現に置き換えることができます。

 

どんな教科においても、知らないことは出てくるものです。

初めて触れることや、苦手意識がある勉強に関わる内容においては、特にわからないことだらけでしょう。

 

その「わからない」を放っておく、知ったかぶりして

分かったようなふりをすると、どうなるのか。

 

教科内の内容はつながっています。

もっと言うと、教科と教科の内容もつながっています。

1つ分からないところがあると、その2倍、3倍と理解できないところが出てくるものなのです。

 

「わからない」は連鎖する

例え話をしましょう。

A君は数学で比例の式を習いましたが、さっぱりわかりません。

 

A君はそれでも、なんとなく「わからない」というのが恥ずかしくなって、そのままにしておくことにしました。

すると、その先のグラフもわからない、応用問題もわからない。

当然テストの点も悪い。

さて、困ったA君。

それでも「まあなんとかなる。先生に質問しに行くのもなんだか恥ずかしいし、知ったふりでもしてるか。」

と放っておきました。

 

するとどうでしょう、図形の応用問題で比例を使う場面が出てきました。

理科の地学分野で比例のグラフが出てきました。

2年生になったら一次関数という発展形を勉強することになりました。

A君の苦手な分野がどんどん、どんどんと増えていきます。

 

A君はここでようやく、「あの時知ったかぶりしていなければ…」と思うようになります。

彼は先生に質問を重ね、比例の原理や公式を理解しました。

しかし、その時すでに、他の人よりも大幅に勉強に遅れをとっていたのでした…。

 

気づかないうちに取り返しのつかなくなることが怖い

上の例え話でも分かる通り、知ったかぶりを続けていくと、後々自分が苦しむことになります。

怖いのは、「わかったつもりでいるんじゃなかった」と後悔しても、時すでに遅しということが多いのです。

 

わからないところは、すぐに解決しておくこと。

でなければ、あなたも「酢豆腐」の若旦那のように、辛い思いをすることになります。

 

最後に一つ、ことわざを。

 

 

「聞くは一時の恥 聞かぬは一生の恥」

 

 

 

札幌 家庭教師シニア 専任講師 S村

 

 

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