(カテゴリ:専任・S村 )
閲覧ありがとうございます! 専任講師のS村です。
今日は少し視点を変えて、国語力について話をしたいと思います。
そもそも国語力とは?
文科省によると国語力は、「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」によって構成されるものを指すそうです。
「考える力」は、筋道立てて話すこと、または書くこと、事実なのか予想なのかを見極め、論理などを読み取ることを指します。
「感じる力」は、相手の気持ちを理解したり、自然や人間に関する事実を理解し、感動したりする力のことです。
「想像する力」は、未経験のことや現実にはないことなどを、頭の中で自由に思い描くことのできる力のことです。
相手の表情や態度から、言葉にできない気持ちを察する力もこの能力です。
「表す力」とは表現力であり、自分の考えや思いを、相手や場面に配慮しつつ展開していける能力のことです。
さて、考えたことを表現したり、何かを表現したりするためには、言葉や「てにをは」の意味などを知っておく必要があります。
いわば日本語の知識といってよいでしょう。
文科省はこれを「国語の知識等」と名付け、上の4つの力の基盤であるとしています。
具体的に挙げているのは、
1 語い(その人が知っているすべての言葉)
2 表記に関する知識(漢字や仮名遣い、句読点の使い方など)
3 文法に関する知識(言葉の決まりや働きなど)
4 内容構成に関する知識(文章の組立て方など)
5 表現に関する知識(言葉遣いや敬体・常体など)
6 その他の国語にかかわる知識(ことわざや慣用句の意味など)
となっています。
国語力が高いことのメリットとは?
「考える力」が高ければ、
相手の言っていることをすぐ理解できたり、本の内容を深く理解できたりします。
もう少し例を挙げると、相手がでたらめを言っているかどうかを見極めることができるなど、自分の身の危険を回避することにもつながるでしょう。
「感じる力」が高ければ、場・人間関係などに応じた言葉の使い方を意識して使えるようになります。
「想像する力」が高ければ、相手の言動から気持ちを感じ取ることができ、それに応じたコミュニケーションがとれます。
また、相手のやり取りや過去の発言を振り返れば、これからどのようにその人と付き合うかを判断できます。
そして「表す力」が高ければ、状況に応じて、自分の思いを敬語で表現したり、強調して話したり、そして時には、相手の気持ちに合わせながら話したりすることができます。
もうお気づきでしょう。
国語力が高ければ、人とのつながりを良いものにできるというメリットがあるのです。
国語力を高めるためのトレーニング
では、その国語力――具体的いえば4つの力――をつけるためには、何をしたらよいのか?
国語力を養うためにするために行うことは、大きく三つの方法に分けられます。
1つ目は、継続トレーニング。
2つ目は、知識を繋げるトレーニング。
3つ目は、アウトプットトレーニング。
継続トレーニングとは、国語力の土台となる「国語の知識等」の学習を意味します。
漢字の読み書き、文法の学習などといったものから、読書活動もここに入ります。
知識を繋げるトレーニングは、書いたり話したりする際に必要な「考える枠組み」をつくる練習を意味します。
要約練習、記述練習はこれに該当します。
アウトプットトレーニングは、2つのトレーニングで養った「国語の知識等」や「考える枠組み」を使い、演習をすることを意味します。
学校のテスト・模試対策はもちろん、作文、小論文、スピーチ、プレゼン、さらには人との会話、仕事の資料作成などもこれにあたります。
継続トレーニングは毎日する
一番大事なのは継続トレーニングです。
毎日、書く、読むなど何らかの形で国語の知識を吸収してください。
特に大切なのは、類義語。
あまり学校では触れないものかもしれませんが、文章の読み取りという視点では絶対に避けて通れないものです。
なぜかというと、同じ意味を指していても、言葉次第で聞き手(読み手)の印象がぐっと変わる言葉があるためです。
例えば、「明るい」の類義語に「煌々たる(こうこうたる)」という言葉があります。
「明るい」の意味は「光がさして、ものが良く見える状態」を、「煌々たる」は「光り輝くさま」をそれぞれ指しています。
しかし、「あれは明るい太陽だ」と「あれは煌々たる太陽だ」という文章で、同じようなイメージを持つ人はあまり多くないと思います。
世の中にはこうした、「本当は類義語だけどもそう思われていない言葉」が多くあります。
そうした言葉を知っておくことは、自分の表現や考えの幅を広げ、人とコミュニケーションをとる際に役立ちます。
また、読書をするのもトレーニングです。
一週目はなんとなくでも良いので最後まで読んで、二週目からは、日常で自分も使えそうな表現を見つけるようにして読んでみましょう。
知識を繋げるトレーニングは要約・記述問題に取り組む
知識を繋げるトレーニングは、継続トレーニングで得た漢字や文法、表現などの知識を使って、要約練習、記述練習をしてみましょう。
大事なのは、言い換え、という視点。
言い換えは、長い言葉をコンパクトにする作業です。
ここで生きるのが継続トレーニングで学んだ類義語。
長い言葉を短い類義語に変換するだけで、より短く、より相手に伝わるような短文が完成します。
アウトプットトレーニングは日本語を意識的に使うということ
社会では、立場の違う人と話すこと、そして状況に応じた書き方や話し方、人の心に寄り添って声をかけることなど、様々な状況があります。
その中で、皆さんは毎日、人とつながりを持ち、日本語を使うわけです。
SNSをはじめとするインターネット空間だってそうです。
ただこれはほとんどの場合、無意識に行われていると思います。
これを、意識して(注意して)使ってみてください。
例えば、SNSでコメントをつける時や、学校で先生や友人と話す時などに、少し意識して言葉の順番を入れ替えてみたり、使う言葉を選んでみたりするだけで、相手からの印象が良い方向に変わるかもしれません。
アウトプットトレーニングは、継続トレーニングで得た語い・文法や、知識を繋げるトレーニングで得た文の作り方を日常の場で意識して実践してみるというものです。
ぜひやってみてください。
意識して日本語を使う中で、他のトレーニングで補うべきところも見えてきます。
そうしてまたトレーニングを重ね、日常で実践してみる……というサイクルが出来上がると良いでしょう。
学習の土台には国語力がある
もちろん、これらは勉強においても効果を発揮します。
各教科において、問題文を理解するためには、国語力、特に「考える力」が必要です。
これは継続トレーニングにおける、読書や文法練習が効果的です。
また、最近は国語に限らず、数学、英語などの教科においても、考えたことを記述する問題が数多く出されています。
「考える力」はもちろん、「表す力」を備えておく必要があります。
これらを鍛えるためには、紹介した三つのトレーニングをこなしておくとよいでしょう。
日ごろから、意識して文章を読んだり、書いたり、話したりすることをお勧めします。
受験期、様々な教科を学んでいると思いますが、国語力は、学習の根底にあるものだということを、心のどこかに残しておいてほしいと思います。
札幌 家庭教師シニア 専任講師 S村