札幌市内近郊の高校入試情報(合否の仕組み)

札幌市内近郊の公立高校の合格ライン情報を掲載します(私立高校についても掲載してあります)。各公立高校の定員、倍率、出願者数、内申ランクと当日点、ボーダーライン、目標点が掲載されています。

それとともに、札幌市内近郊を含めた北海道内の公立高校合否の仕組み、内申点の算出方法、通知表の付け方、内申アップの秘訣などもご説明致します。

高校入試のシステム・合否の仕組みを理解し、その上で目標の高校に向けた明確かつ具体的な取り組みが何より大事です。

札幌市内近郊の公立高校・私立高校 合格ライン

近年の教育改革について

少し、近年の教育改革についてお話したいと思います。

「ゆとり」「脱ゆとり」「2020年の改革」

近年の大きな教育改革は、2002年の学習指導要領の改訂です。それまで、少しずつ学習内容が削減されてきましたが、大幅な削減が実施されました。
一般には、2002年が、いわゆる、「ゆとり教育」の始まりとされています。
そして、その教育を受けた世代は、「ゆとり教育世代」と言われています。
現在、20歳から30前後の方は、まさにこの世代です(2019年時点)。

しかし、学力低下騒動のもと、2011年に学習指導要領の改定が実施され(新学習指導要領)、これが、いわゆる、「脱ゆとり教育」です。
この改定により、今まで削減されていた単元が復活したりして、大幅に学習内容が増加しました。「ゆとり教育」に比べると、生徒たちの学習の負担が相当大きくなっています。

国語

  • 古典の扱いが 、他の論説文や小説と同様により読み取りが重視されるようになります。
  • 『品詞分類』などの文法事項を中学1年生から学習することになります。

数学

  • 前年までの既習事項を、復習させるページが多くなっています。
  • 『立体の切り口』や『投影図』などの図形関連の問題が多く復活します。

社会

  • 歴史の量が増え、3年間で学習することになります。ですから、中学1年生と中学2年生では、地理と歴史を学習し、中学3年生では、公民と歴史を学習します。
  • 地理の学習では、世界の地域のほぼ全域、日本の地域の全域を学習することになります。

理科

  • 現行の教科書では、1分野上下と2分野上下の4冊にわかれていますが、変更後は、学年ごとで1冊になり、3学年で3冊になります。
  • 難解な分野であった、『水溶性とイオン』、『水圧と浮力』、『滑車を使った問題』、『メンデルの法則について』等が出題されることになります。

英語

  • 単語数が『900語程度』から『1200語程度』と大幅に増加します。
  • ページ数が50%ほど、増量になっており、週3時間から、週4時間へと授業数も増加しています。
  • 文法事項の追加はありませんが、中学2年生で『受動態』を扱う教科書が増加しています(受動態は現在中学3年生で学習)。

さらに、大きな教育改革と言えるのが、2020年度の改革です。
具体的には、小学校5、6年生での英語の教科化、プログラミング教育の実施、アクティブ・ラーニング(能動的学習)の導入、思考力・判断力・表現力の重視、大学入試制度改革(大学入試共通テストの導入)などです。

北海道内の高校入試の仕組み(公立高校合否の仕組み)

以下では、札幌市を含めた北海道内の公立高校入試制度の仕組みについて説明します。
北海道内の公立高校の合否は、内申点と入試点(1教科100点満点の合計500点)が相関的に考慮されて決まる仕組みが取られています(2021年度までは1教科60点の合計300点)。
したがって、入試点はもちろん、内申点がとても重要になってきます。

内申点とは、中学3年間の各学年の通知表の成績のことを指します。

内申点の算出方法とは

中学1年生の場合

最新の通知表の9教科(5段階評定)の合計×7

最新の通知表の9教科(5段階評定)の合計×7

中学2年生の場合・・・下の①、②の合計

① 中学1年生の3学期の通知表の9教科(5段階評定)の合計×2 ② 最新の通知表の9教科(5段階評定)の合計×5

  1. ① 中学1年生の3学期の通知表の9教科(5段階評定)の合計×2
  2. ② 最新の通知表の9教科(5段階評定)の合計×5

中学3年生の場合・・・下の①~③の合計

① 中学1年生の3学期の通知表の9教科(5段階評定)の合計×2 ② 中学2年生の3学期の通知表の9教科(5段階評定)の合計×2 ③ 最新の通知表の9教科(5段階評定)の合計×3

  1. ① 中学1年生の3学期の通知表の9教科(5段階評定)の合計×2
  2. ② 中学2年生の3学期の通知表の9教科(5段階評定)の合計×2
  3. ③ 最新の通知表の9教科(5段階評定)の合計×3

内申点を計算したら内申ランクをチェック!

計算された内申点は、20点ごとに13段階に区切られ、上位から順にA、B、C…とランク付けされます。
3年間オール5はAランク、オール4はDランク、オール3はGランクということになります(同じランクなら、内申点が高い方が有利)。

内申点ランク表

内申点 内申ランク 内申点 内申ランク
315~296 A 175~156 H
295~276 B 155~136 I
275~256 C 135~116
(オール2)
J
255~236
(オール4)
D 115~96 K
235~216 E 95~76 L
215~196 F 75~ M
195~176
(オール3)
G

通知表のつけ方~通知表はどのようにつけられるのか

相対評価と絶対評価
2001年までは相対評価で、2002年から絶対評価に移行。

相対評価では、クラス内の上位数パーセントに最高評価の5、下位数パーセントに最低評価の1をつけるといった評価基準。
これによれば、クラス内にたくさん優秀な生徒がいても、その生徒たち全員に5をつけることはできず、決まった数の生徒にしか5をつけることができませんでした。

これに対して絶対評価では、上位数パーセントの制限はないため、多くの生徒に5をつけることが可能になります。

絶対評価での通知表のつけ方

まず、通知表の「3」や「4」などの評定の横にある、A~Cの成績を見てみましょう
(学校によっては◎、○、無印となっていたりします)。通知表の「3」とか「4」などの評定は、実はこのA~Cの成績の組み合わせによって決まっているのです。

  学習の主な観点 状況 評定
数学 数学に関心を持ち、数学の楽しさを知り進んで考える
身の回りの事がらを、記号や数量などに置き換えて考える
数量を正しく計算したり、グラフや図形で表現したりする
数量や図形などについて、基礎的な知識を身につけている

現在の通知表のつけ方は、例えば、社会科なら「関心」「思考」「表現」「知識」という観点について「絶対評価」と呼ばれる評価をされています。知識や量のようなテストの点数だけではなく、授業中の挙手の回数や調べ学習での取り組みなど、それぞれの観点についてA~Cで成績をつけ、これらの組み合わせで通知表の成績が決まっているのです(観点は教科によって異なります)。

通知表の成績の決まり方の例

4観点の組み合わせ 通知表の評定
AAAB(Aが3つ以上でCがない) →「5」
AAAC(Aが3つでCがある)
AABB(Aが2つ)
→「4」
ABBB(Aが1つ)
BBBB(4つともB)
BBBC(Cが1つ)
→「3」
BBCC(Bが2つ)
ACCC(Aが1つ)
→「2」
BCCC(Bが1つ以下) →「1」

※成績の組み合わせは学校によって異なります。

内申点アップの秘訣

例えば社会科ならば、通知表の評定は「関心」「思考」「表現」「知識」の4つの観点がもとになっています。ズバリ内申アップの秘訣はここにあります!

観点(社会科) 評価される内容の主な例
関心・意欲・態度 授業態度、提出物、時事問題への関心
思考・判断 調べ学習への取り組み、理由を問う問題
表現・処理 ノートのまとめ方、資料を読み取る問題
知識・理解 小テストや定期テスト

関心・意欲・態度

授業態度や、時事問題への関心などが、評価されることが多い傾向にあります。ですから、授業中に積極的に発言したり、時事問題への関心を持つことが大切です。時事問題は、普段から、新聞やテレビのニュースをチェックしていれば、問題はありません。また、課題などの提出物は、忘れずにしっかり出しましょう。

思考・判断

調べ学習への取り組みなどが評価されることが多い傾向にあります。気になることは、「なぜ?」「どうして?」に対し、「~だから」といった理由や根拠も説明できるようにしておきましょう

表現・処理

ノートのまとめ方や資料を読み取る問題で評価されることが多い傾向にあります。特にノートのまとめ方は、ただ黒板に書かれたことを写すだけでなく、ポイントになるところは色を使ったり図や表にまとめるなど、見やすく分かりやすくまとめることが、成績アップにつながります。

知識・理解

主に小テストや定期テストで評価されることが多い傾向にあります。しかし、テストでは知識・理解だけが問われるのではなく、各観点から出題されるので注意が必要です。また、テストの問題用紙や解答用紙を良く見てみると、「知識・理解」や「思考・判断」など、どの観点の問題かが書かれていることがあります。

社会科に限らず大切なことは、授業への取り組み、ノートのまとめ方、提出物の提出状況などが評価されることです。テストの点数も大切ですが、点数以外についても、内申を決める上では大きなウエイトを占めるので、十分な対策が必要になります。

内申点と入試点(各教科100点満点の合計500点)で合否が決定

この両者が相関的に考慮されて札幌市を含む北海道内の公立高校の合否が決定されます。
すなわち、各高校は縦軸に内申点(20点刻み)、横軸に入試点(20点刻み)の相関表に受験生の内申点と入試点を当てはめて合否を決めることになります(2021年度までの入試点の合計が300点満点の時は12点刻み)。

そして、定員の70%程度を内申点と入試点を同等に評価して選抜する。
残り30%程度のうち、15%ずつを内申点重視、入試点重視で選抜する。
内申点重視、入試点重視の割合は各高校により異なります(各高校の裁量)。

なお、学力検査以外に、面接、実技、作文を実施する高校もあります。
また、学区外からの受験には合格者が制限されていますので注意が必要です。

公立高校入試相関表

道内の公立高校の一般入試では、内申点と学力点とを上記の相関表に当てはめて合否を判定する仕組みが採用されています。

いわゆる、裁量問題について

正確には「学校裁量問題」と言い、2009年度から採用されました。
一般的に上位校以上の高校において、入試5教科のうち、国語・数学・英語の各1題を難易度の高い「裁量問題」に差し替えて出題されることになりました。
その趣旨は、ちょっとしたミスで合否が決定されるのではなく、学力差で合否を決しようとすることにあります。

ただ、この裁量問題も2022年、令和4年3月の高校入試から廃止されます。

新しい高校入試制度では、全ての受験生が同じ問題を課されます。
その内容は、基礎的な内容と思考力・判断力・表現力を問う難易度の高い内容を組み合わせた入試問題ということになります。
また、5教科の入試配点も、現在の60点満点から100点満点になり、得点差がつきやすくなるように変更されます。
さらに、試験時間も1教科45分から50分になります。
解答用紙もB4からA3に変わります。

道立高等学校入学者選抜における改善の基本方針

評価

これまでも、何度か学習指導要領が改定されました。
その度に言われたのが、知識偏重からの脱却、そして思考力・応用力の重視だったと思います。
確かに、思考力、応用力は、一朝一夕に身につくものではなく、真の学力と言われるべきものです。
しかし、思考力、応用力を問う問題といえども、所詮は基本問題の組み合わせであって、極めて難しい問題ではありません。
各単元の基本・本質を正確に理解し、問題を解く時には、いつも論理的に矛盾なく考えることを意識して取り組むようにしておけば、十分対応できる問題です。
今回の入試制度の改革に一喜一憂せず、普段から上記のことを意識して勉強していって欲しいと思います。

そして、「ケアレスミスを無くす」ということも、必ず、意識して取り組んで欲しと思います。
なぜなら、そのミスが合否を決することになるからです。
これは、いつの時代でも変わりません。

普段の勉強から絶えず意識して取り組んでいけば、必ず、少なくできます。
しかし、意識して取り組まなければ、決して無くすことはできません。
肝に命じて欲しいと思います。
そのミスが合否を決します。

以上、皆さんに少しでも参考になれば幸いです。

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