(カテゴリ:第一教務課 )
私が、小学生のころ。
今もそうだと思いますが、トレーディングカードゲームが学校中で流行っていました。
カードを集め、デッキ(山札)を編成し、ルールに従って試合をしていたわけです。
私はお世辞にも強いとは言えず、ただ強いカードを集めるのが楽しいと思って参加していました。
試合が終わったり、単純に相手の持っているカードが気になったりしたときは、お互いにデッキを見せ合ったものです。
そして、あーでもないこーでもないと戦い方について話していたのでした。
ある時、私は家に遊びに来た友だちに、自分のデッキを見てもらいました。
彼は、驚くでも馬鹿にするのでもなく、淡々とデッキを見て、最後に一言こう言いました。
「宝の持ち腐れだね」
私はその瞬間をよく覚えています。
どのくらいよく覚えているかというと、その時の彼の表情、その時の天気、言われた場所、すべてをはっきりと言えるくらい。
それほどショックを受けたのでしょう。
でも同時に、彼の言葉の意味は痛いほど理解していました。
「強いカードばっかり持っていても、実戦でそれが使えなければ意味がない」
そういう意味を込めて、友人は「宝の持ち腐れ」と言ったのです。
さて、何故このような話を紹介しているかというと。
最近、宝の持ち腐れをしている自覚のない生徒さんが、増えているような気がするからです。
この場合の宝とは、日本語の単語です。
「単語を知っていても、使えない、使わない。」
単語を使う機会は山ほどあります。特に、長文を書く、音読すると言った作業はその代表例でしょう。
ただし、今は短文の時代。数多くの単語を知っていたとしても、ラインやインスタに使うことはほぼないでしょう。
単語は、使わなければ忘れていきます。こうして、どんどんと「宝の持ち腐れ現象」が起こっていくのです。
「宝の持ち腐れ現象」を防ぐには、とにかく文章を書くことと、本の音読をするのが一番効果的です。
書くことと読むことを通して、単語の意味をより深く理解することができます。
覚えっぱなしではなく、実際に使ってみることで、語彙力は定着するのです。
自分の興味のある単語に出会うきっかけは、テレビやネット、ゲームなど様々なところにあると思われます。
それを調べて満足するのではなく、一回でも良いので使ってみることが大切でしょう。
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