(カテゴリ:専任・S村 )
前回!→https://senior-sk.com/seniorblog3/archives/583
閲覧ありがとうございます! 専任講師のS村です。
前回は伊能忠敬が家の危機を救い、そして村の危機までも救ったというエピソードをご紹介しました。
後編はいよいよ測量が始まります。彼の人生から見えてくる、勉強の極意とは…?
忠敬、江戸へ出る
忠敬は伊能家に来てから、仕事の合間を縫って、天文学の勉強をしていました。
49歳になった段階で、忠敬は息子に跡を継がせ、自分は天文学をより深く勉強するために江戸に引っ越します。
「天文学を深く勉強したい。そのために、天文学のプロに弟子入りしよう!」
そう思った忠敬は持ち前の行動力を使い、幕府に仕えていた天文学のスペシャリスト・高橋至時(たかはしよしとき)の元を訪れ、彼の弟子になります。
このとき、至時は30歳。忠敬とは19歳も年が離れています。
それでも忠敬は律義に、至時のことを「先生」と呼んで尊敬していたようです。
至時ははじめ、忠敬に対し、「この人、趣味で天文学しているんだろうなあ」と考えていました。
ところが、忠敬は昼も夜も、ずっと勉強。
至時もその姿に感動を覚え、忠敬を「推歩先生」と呼ぶようになります。
ちなみに、推歩とは「星の動きを観察すること」を意味しています。
天体観測のプロ中のプロにそう呼ばれた忠敬は、よほど勉強することに夢中となっていたことでしょう。
そして「伊能図」へ
忠敬が52歳の時、至時が新しい暦(太陽・月の位置や形の変化に、規則性をつけて表したもの)を完成させます。それまでの暦に比べ、正確性が高いものが出来上がりました。
それでも、もっと質の高い暦を作りたいと、至時や忠敬は思います。
さらに精度の高い暦を作るとなると、地球の直径はいくつなのか、ということを知る必要がありました。
一応、オランダの書物には約4万㎞という数値が表されていましたが、本当かどうかわからない。
ではどうするか。
彼らが導き出した結論は、江戸から蝦夷地(現在の北海道)までの星を観測することでした。
ですが、当時は幕府の許可がなければ蝦夷地に行けません。
2人は何とか旅に出られるような理由を考え、幕府に対して次のような届け出を出しました。
それが「蝦夷地の地図製作」でした。
国防(=国を守る)のためにも、蝦夷地、そして日本の正確な地図が欲しいと考えていた幕府は、測量の許可を出します。
こうして、忠敬の生涯をかけたプロジェクトがスタートするのでした。
10回・約17年にわたる地図の測量
1800年、蝦夷地に向かった忠敬は、さっそく地図の測量に取り掛かります。
昼間は40㎞歩き、夜は天体を観測し、昼間の測量で得たデータと照らし合わせて誤差を修正……。
これを約半年にわたって行いました。
そして江戸にもどってきた後は地図の作成に取り掛かり、3週間後に完成させます。
師匠の至時も「これほどまでにできるとは思ってなかった」と感心し、忠敬を褒め称えます。
幕府からの評価もとても高いものでした。
この後、東日本の測量を進め、次々と地図を作っていった忠敬。
第4次測量の後、蝦夷地も含めた東日本のデータをすべて集計し、地球の直径を導き出すのに成功します。
直径は、測量前に読んだオランダの本に記されていた約4万㎞!
忠敬と至時は手を取り合って大喜びしたといいます!
しかもその誤差は現在の1000分の1!!
その後、正式に幕府の事業となった日本地図の制作は、忠敬をリーダーとして西日本も進められていきます。
そして、第10回の測量をもってすべてを終了!
時に忠敬、71歳。
歩いた距離は何の因果か、地球1周分の約4万㎞!
さっそく地図の制作にかかりますが、その途中で、忠敬は病でこの世を去ってしまいます。
忠敬の弟子たちが彼の事業を引き継ぎ、「大日本沿海輿地図(だいにほんえんかいよちず)」を完成させました。
楽しいと思うこと
伊能忠敬という人物から得られる、勉強の極意。
それは、「好きな教科・好きな分野を増やすこと」です。
忠敬は旅の後半、自分の娘に「歯も抜けて、大好きな漬物も食べられない」と手紙を送っています。
それでも彼は、「誰もしたことのない地図作りに取り組めて、ありがたい」と前向きなことも言っているのです。
彼はとにかく天文学が好きで、楽しくて、仕方なかった。
だからこそ、辛い旅も乗り切ることができた。
何か一つの教科でもいい。
自分がほれ込んで、好きで好きでたまらない教科や分野を持っていること。
それだけでも、学習意欲は違います。
テストや受験の時、この教科は本当に好きだというものがあれば、それを拠り所にして、モチベーションを高めることだってできるのです。
では、どうやって好きな教科を見つけるのか?
とにかく、いろんな強化を幅広く、根気よく取り組んでみましょう。
1問2問やってできないからって、投げ出すのはもったいない。
やってくうちに「ああ、これ、楽しいな」と思う教科に出会うことも多いのですから。
これからの夏、あなたと教科の素敵な出会いがありますように。
㈱シニア 札幌家庭教師派遣センター 専任講師 S村