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数学で高得点を取るために(二次試験対策)

数学で高得点を取るために(二次試験対策)

著者
北海道大学医学部医学科に在籍のT講師。札幌のトップ高校出身で、医学部には首席で合格しています。理数系科目だけでなく、文系科目にも対応でき、レベルの高い指導に定評があります。気さくな人柄で、現在、シニアの本部教室で3名の生徒を担当しています。
内容
一般的に言われる「数学はパターンである」の真意について述べられており、数学で高得点を取るための方法論として、とても参考になる内容です。

1.「大学への数学」との出会い

僕がそれからのパートナーである「大数」と出会ったのは今から四年前……高校二年生の時のリラ冷えの春だった。

その日は朝からいつも僕を起こしてくれる飼い猫のハナの姿が見えず、リビングにいってみると、ハナの朝ご飯はあるが僕の朝ごはんがきれいさっぱり消えていた。不可解に思いながら・・・(中略)、帰り道、朝食にありつけずお腹を減らした僕は、鼻腔を刺激する芳醇なにおいに連れられて本屋へと足を向けた。

そこで僕は運命的に出会った。
「大学への数学」
この本なしに僕の受験を語ることはできないだろう――

などと駄文を綴っていても東京出版のダイマにしかならないので、ここでは僕が、受験勉強を通して学んだちょっとしたテクについて語ろうと思う。
本当は勉強の仕方とか、大学受験の際の心構えとかを書こうとしたが、あまり一般向けの話にならなかったためである。授業は聞かないで問題集をひたすら解いては、解答集で答え合わせをする方が建設的である、なんていった不真面目な話ばかりになるからである。

2.「数学はパターンである」という言葉の真意

本題に入るとしよう。
「数学の問題演習というのは何の意味があるのだろうか」と考えたことはないだろうか。社会や理科と違って、問題演習と全く同じ問題が出ることは数学にはありえない。また、公式を覚えていれば数学のあらゆる問題は理論上解けるはずである。したがって、数学において問題演習は必要ない、無駄なことではないのだろうか。

往々にして、この問いに対する答えは、「一度解いた問題と全く同じ問題が出なくとも、似たような問題は出るから」である。
それゆえに「数学はパターンである」という言葉が横行する。
解いたことがある問題に近い問題ならば、難問でも解けるだろう、ということだ。そういう考え方のもと僕たちは数学の問題集をやってきて、今もやっているのだろう。

学校の教員や塾の教師に散々、耳にタコができるほど言われてきたであろう、この「数学はパターンである」という言葉。この文章では僕の考えるこの言葉の真意、本意について書いていこうと思う。

抽象的な話をしてもいいのだが、それだとこれを読み終えたときに得たものが判然としなくなるのは目に見えているので、ここではとりあえず分かりやすい「極限」という分野を例にとって話をしてみる。

受験生諸兄の中には聞いたことがある人も多くいるだろうが、「○○の極限を求めよ」という頻出問題の解法というのは、大別すると五つしかない。すなわち、

  1. ①見たまんま
  2. ②公式
  3. ③ハサミうち
  4. ④微分の定義
  5. ⑤区分求積

である。
まあこのうち二つや三つの解法にまたがるものも存在はするが、この五つを超えるものがないというのが重要だ。
せっかくなので、一つずつを細かく見ていく。

①見たまんま

字面だけでは何を言っているかわからないと思うが、僕もこれをどう表記するか迷ったものである。要するに、lim┬(n→∞)⁡nとかlim┬(n→∞)⁡〖1/n〗などといった公式ですらない基礎的な極限のことである。こういった問題は数式さえ出してしまえば極限を求めるのは簡単なため、その数式を出すまでが難しいものが普通である。

②公式

例えばlim┬(x→0)⁡〖sin⁡x/x〗などの三角関数系の極限とかlim┬(n→∞)⁡〖(1+1/n)^n 〗である。意外と忘れがちなので念頭においておくといい。こういったタイプのものは、公式とそれ以外の部分に式を分解してから極限を求めるとミスが少なくなる。

③ハサミうち

いわずと知れたハサミうちの定理を使用して極限を求めるタイプの問題である。定義の段階で求めるxに範囲が示されている場合などはハサミうちの場合が多い。また、どう考えてもこの条件で極限を求めることは不可能と感じる問題や、考え方のとっかかりもつかめない問題はハサミうちでしか解けないことがザラである。

ここまでが順当な極限の求め方であり、ここからは少々ひねくれた問題となってくる。

④微分の定義

ずばりf_((x))^'=lim┬(h→0)  (f(x+h)-f(x))/hである。極限は数Ⅲの範囲なので学習するのは普通高校三年生である。が、これは微分の話なので数Ⅱ、つまり高校二年生で学習する範囲である。これを習った際は「何の意味があるんだこの定義は」と思い、そのまま忘却する人が多いため、極限と微分の定義が結びつかない人が多く、これがからむ極限の問題は難問になりやすい。

とはいえ、例えば極限を求める式を分解していったらいい感じに上記の式になって微分したら答えが出る。例えば平均値の定理と微分の定義を利用してハサミうちで落としこむ。などなど意外と微分の定義を使う問題は多い。極限を解くうえで可能性の一つとして頭の片隅には入れておきたい。

⑤区分求積

これは極限の後にやった人も多いと思うが(lim)┬(n→∞)  1/n ∑_(k=1)^nf(k/n) =∫_0^1f(x)ⅆxとか、lim┬(n→∞)  1/n ∑_(k=0)^(n-1)f(k/n) =∫_0^1f(x)ⅆxとかのことである。これの厄介なところは、この二つの公式を覚えれば区分求積を使いこなせるというわけではないことである。

区分求積という言葉は、普段なら積分を使って求める数式によって囲まれた面積を、限りなく横幅が狭い帯を無限に足し合わせることによって求める、という考え方そのものを表している。したがって、公式など無限にあるため、状況に応じて必要な公式を考えなければならないのである。論理を理解していればそう難しいものでもないが、理解してなければほぼ不可能だろう。

さしあたって、上記の二式でいえば、左式の総和の範囲のnがn-1に変わっても右式に変わりがないということを説明できるかどうかで理解度をはかることもできるだろう。厄介な問題ではこれを使ったうえでハサミうちをする、なんて問題も見たことがある。ともあれ、区分求積を使うかどうかは判断がしやすいので 言ってしまえば楽である。
もっとも、Σが出てきて区分求積だと思ったら、総和を必死に計算して極限自体は普通に出す、なんて問題もあるわけだが。

3. 解法の可能性を羅列できるように

ここまで五パターンの極限の解法について述べてきたが、まあ何が言いたいのかというと、これから極限の問題を解く際に、初めからこの五パターンを念頭においた方が、当たり前だが効率がいいということだ。

このことから言えることは、「数学はパターンである」という言葉を完全に実践するなら、単にこの問題は一度見たことがあると考えるだけに留めず、自らの頭の中で問題パターンを分類し表にするまでやる必要があるということだ。そうすれば問題を解く段階になって、解法の可能性を頭の中に何個か羅列することができる。すると、今まで手も足も出なかった問題の糸口が見えてきて答えまでの道順をたどることができるようになるのだ。

大学入試の二次試験の数学というのは、高校入試やセンター試験と違い、難しい問題を数問、たっぷりの時間とともに出題してくる。こういった問題を解くためには様々な解法を試さなければならない。そう考えれば、上述のように解法の可能性を羅列できるようになることがどれほどのアドバンテージたりうるのかが真に理解できるだろう。

4. 問題の解法を分類し表にする

今回は極限を例にとってみたが、こういったようにある程度分類しやすい解法というのは結構ある。例えば、ベクトルにおける面積の出し方だったり、帰納法の使い方だったり。
もちろん、今あげたのは一例である。解法の種類は書こうと思えばいくらでも書けるが、今回はこの辺で筆をおいておこうと思う。自分で問題を解いていく中で、新しい解法の分類を見つけてほしいからだ。

これから数学の二次試験の対策をしようという人にはぜひ、問題を解く前に解法の可能性を羅列してみてほしい。それは確実に高得点に結びつくからだ。
そのためにも自分の中で問題の解法を分類し表にするということを、これからは心がけてみてほしい。

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