数学のすゝめ~数学を武器にしたい皆さんへ~
数学の得点アップのための方法論が丁寧に述べられています。計算力対策、公式の覚え方は、納得です。
高校生の普段の学習シュケジュールはとても参考になります。受験で数学が武器になります!
- 著者
- シニアで、多くの高校生、中高一貫校生を担当している札幌市内の中高一貫校(北嶺)出身の北海道大学医学部医学科のH家庭教師(講師)。誠実な好青年で、特に数学の指導に長けています。
- 内容
- 数学の得点アップのための方法論が丁寧に述べられています。
計算力対策、公式の覚え方は、納得です。高校生の普段の学習シュケジュールはとても参考になります。受験で数学が武器になります!
はじめに
皆さんが数学を勉強することによって得られることは何ですか?行きたい学部に行ける。賢く買い物ができる。賭け事に強くなる。欲しいものを買ってもらえる。ざっとあげた以外にも、さまざまな答えがあると思います。私は、能力に関して言うなら、それは「物事に対して、短い時間で、すべての場合を想定しつつ、正確な判断を下す能力」だと思います。テストの点数が高い人には、数学が得意な人が多いです。それは、数学が苦手な人が多いため、他の人に大きなアドバンテージを作れるという理由のほかに、この人が他の科目の点数も高いからです。なぜなら、数学で得られる能力、いわゆる、論理的思考能力は、他の科目にも通ずるところがあるからです。もっと言えば、皆さんが、数学を勉強して得られることは、受験で合格した後の人生の中でもいきてきます。
でも、まず1番大事なのは皆さんの数学の点数が1点でもアップすることです。私が、いままで数学を勉強したり、シニアで生徒さんを指導したりする中で得た経験をもとに、いかに勉強すれば数学が得意になれるかをお伝えできればと思います。
略歴
札幌市内の小学校を卒業
市内の中高一貫校(北嶺)を卒業
現在、北海道大学医学部医学科に在学中
1.数学の問題を解く上で大切なこと
計算力
数学の問題を解く上で大事な要素の1つ。それは、計算力です。
各分野における概念を理解した後は、その分野の計算方法を体に染みつけます。どんな難問でも、頭を使うのは、要所、要所で、大半は基礎的な計算の繰り返しです。計算を一つ一つクリアすることで、考えるべき壁にぶつかり、思考力が問われる、といったイメージです。難問になればなるほど、見たことのない壁が用意されていたり、必要とされる計算のレベルが高かったりします。
また、難問にぶつかったときに、いつも模範解答のような素晴らしい解法(楽な計算で解けるような解法)が思いつくとは限らないので、ちょっとくらい汚い計算でごり押すためにも計算力は必須です。
計算力に重要な要素があります。それは、「スピード・正確性・字のきれいさ」です。この3つのバランスを保ちながら質を上げていくことが重要です。
STEP1数字と仲良くなる
~単純計算のスピードアップ~
11×11から20×20の百ます計算で2分半を切る(1問間違えるごとに5秒プラス)
~覚える値は覚える~
平方数 20まで
立方数 10まで
平方根 2、3、5、6、7、10
階乗 8!まで
2のx乗 x=10まで
(特に25=32、26=64など自分の暗記の軸になる値を覚えることと、210=1024は覚えるべき)
STEP2各分野の計算を鍛錬する
STEP1で培った数字の感覚が非常に活きてくる
ポイント
- 頭の中では複雑なことをできるだけやらず、手を動かす
無理に暗算をしようとするとミスの原因になります。
ただ、頭の中で処理できることは、計算練習を積めば積むほどレベルアップしていきます。つまり、どこまでを頭の中でするかの見極めが大事になってきます。 - 問題演習の際は、計算の工夫をできないかも検討してみる
計算の工夫は、テストでいきなりできることではありません。
常に意識しましょう。 - ( )をうまく使う
( )をうまく使って、符号間違えを防ぎましょう - どこで間違えやすいかを知る
ミスはするときはしてしまいます。自分がどこで間違えやすいかを知り、そこではより慎重に計算するなどの工夫が大事になります。 - 検算を行う
すべての計算で検算をしていては、とてつもない時間がかかってしまいますが、絶対に間違えてはいけないところ、例えば、二次関数における平方完成や、導関数の結果などは
そこで間違えるとその後のすべてを間違えてしまうので、軽く確認するなどの慎重さは、必要です。
また、数列の一般項を求める問題では、初項と第二項が当てはまるかを確認するだけで、十分です。
あと、テストを解き終わったら、余った時間で間違えなおしをしなさいとよく言われますが、間違えなおしは、別解で同じ答えを導けるかを試すのが1番いいです。自分が解いた解法で解きなおすのも、意味はありますが、どうしても自分が1回目に解いたように解いてしまうので、間違えに気付けない可能性が高くなってしまいます。同じ解法で確認する場合は、ある程度頭をリセットする必要があります。 - 時間に縛りを設けて、計算問題に取り組む
テストでいざプレッシャーがかかると、ミスを連発してしまわないように、日ごろから時間を意識しましょう。
思考力
計算力がついたら次に必要なのは、思考力です。先ほど、計算力の項目でも、言いましたが、計算だけでは、乗り越えられない壁を乗り越える力です。思考力を磨くには、演習しかありません。
計算力がついたら、難しい問題を解いていきましょう。問題集でいう、Level Bの問題ですね。教科書の例題などは、学校で解説してくれると思うので、その考え方を応用しつつ、今まで習った別の分野の考え方を用いつつ、解いていきましょう。すぐ答えを見るのではなく、間違えてもいいので、試行錯誤してみましょう。そうすることで、答えを見たときに、脳により強くインプットされます。
よく難問を解くときに必要なのは、発想力だと言われますが、この発想力とは、0から解答をひらめく力ではなく、いままで勉強した解答の中から、その問題に必要な考え方をアウトプットすることです。そのため、大事なのは、引き出しを多く作ることと、その引き出しをいつでも開くことができるように、つまりアウトプットできるように、自分のものにしておくことが大事です。
ポイント
- インプット
上の文章にも書きましたが、多くの考え方、論理の過程を知ることが大事です。いい問題とされる問題を厳選して解くことも、受験間際など時間が限られた状況では大事ですが、その分野を習って、定期テストまでの期間は、少なくとも、その範囲の問題集の問題はすべて解き、発展問題など難しい問題にもチャレンジしましょう。 - アウトプット
よく言われることですが、インプットしただけで、終わってしまっては、いざテストで解答を書こうと思ったときに時間がかかってしまいます。テスト勉強では、自分が難なく解ける問題を増やすことが大切なので、1度理解した解答を、自分で解答を書くことができるか、もっと言えば、いかに早く、正確に書けるかを突き詰めていくことが大事です。 - 図を描く
違った視点でのアドバイスですが、図を描いて考えましょう。普段からフリーハンドで図を描く練習をすることも大事です。ある程度大きく正確な図を描くことで、頭の中も整理されます。また、図も解答の1部として、採点者に自分の考えを伝えるツールにもなります。
図の書き方も工夫していくことで、思考が洗練されます。立体の問題では、どの平面で切り取ると、わかりやすいかなどです。 - なぜ?を大事に
数学で悩まされることの一つに公式の多さがあります。
ただ、本当に覚える必要のある公式はほんの少ししかありません。公式は、しっかり覚えていれば、計算を早くすることができとても便利ですが、誤って覚えると、害でしかありません。そのため、必死になって覚えますが、それがなかなかつらいですね。
どうすればよいかというと、公式を覚える前に、なぜその公式が成り立つのかを理解するのです。公式の導出は、中には複雑なものもありますが、考え方自体はなかなか斬新で、意外にも頭に残ります。公式は、導出方法を理解することで、鮮明に脳に刻まれ、さらには、もし忘れてしまっても、自分で作ることができるのです。これができれば、なかなかの思考力の持ち主になっていること間違えなしです。
解答力
最後に解答力です。数学が算数と違う大きな点は、計算の複雑さのほかに、その答えが他にないことを示さなければならないことにあります。答えだけでは、点がもらえないのです。
ただ、僕は、答えを出す直観力もとても大事だと、個人的には思っています。それが、解法を考える助けにもなるからです。
解答とは、なぜ、その答えが導けるのかをしめしたものであり、議論を展開したものです。
ポイント
- きれいに書く
整然としていると、採点者に自分の考えが伝わりやすいだけでなく、好印象を持ってもらえます。ポイントは、「書き出しをそろえる」、「日本語と数式のバランス」、「図をきれいに描く」、「字をきれいに書く」ことです。 - 自分の中でテンプレートを作る
これは、思考力の項目の、アウトプットできるようにすることともつながってきますが、自分のなかで、「この問題の、この部分の説明では、この日本語を使う」、「接続詞をどう使うか」など、自分の中で決まりができるほど問題集をやり込めれば、解答をスムーズに書くことができ、解法を練る時間、見直しなどに時間を割くことができます。
2.勉強法
勉強する中で意識することは、今まで述べさせていただいた通りです。
あとは、補足的に、どういうスケジュールで勉強するのがベストかをお伝えします。
定期テストを軸に勉強する
定期テストで点数を取ることを目標に、定期テストまでに、その分野の理解をMaxにできるように、計画立てて勉強していきましょう。
というのも、苦手分野をいったん作ってしまうと、なかなか、克服する時間を作れないからです。後で、復習すればいいからと考えてしまうと、それがつもりつもって、次の分野にも影響が出てしまいます。
ちょっとでもいいから毎日やる
数学は暗記教科ではないため、日々の積み重ねが大事になってきます。毎日、予習復習をする必要はありませんが、少なくとも、その日の授業でわからなったところは、その日のうちに解決し、問題集で解けるところは、すぐに解いていきましょう
問題集は2周やる
数学に試験勉強という概念はあまり持たないでください。なぜなら、数学は毎日勉強し、テストだからといって特別なことをするわけではないからです。
しかし、テスト直前で、それまでの知識を詰める作業は、もちろん大事です。
理想のスケジュール
授業と並行して、問題集を1周解く。
テストの2週間前から、早さと正確さを意識して2周目を解く。
テスト1週間を切ったら、2周目でも間違えた問題をさらに詰める。計算が遅ければ、計算練習も行う。2日前には、数学の勉強は完成させ、前日は、確認で済むようにする。そして、他の暗記科目などに時間を割く。
※テキストチェック
わからない問題をつぶしていく意識をつけるため、自分が間違えた問題には、○、自分があっていた問題には、×をつけるなどして、効率を上げましょう!
問題集に書き込みをしすぎると、解いている気になって安心してしまうので、書き込みはシンプルにしましょう。
以上、皆さんにとって、数学が大学受験で武器になれば幸いです。
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数学偏差値40台から
北海道大学医学部に合格した勉強法 - 数学では、何に重点をおいて学習すれば良いかが明確に語られており、数学の学習に不安のある生徒にとっては、とても役立つ内容だと思います。偏差値40台からでも十分挽回できます。
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