物理学習のヒント
効率の良い物理の学習法について丁寧に述べられています。
物理が苦手な高校生、物理が嫌いな高校生は是非読んでみて下さい。問題集についても触れられています。
- 著者
- 帯広柏葉高校出身のA家庭教師(講師)。現在、北海道大学医学部医学科に在籍中。穏やかな雰囲気の好青年です。シニアの家庭教師として、多くの高校生を担当しています。
- 内容
- 効率の良い物理の学習法について丁寧に述べられています。物理が苦手な高校生、物理が嫌いな高校生は是非読んでみて下さい。問題集についても触れられています。
はじめに
初めまして。北大医学部3年のAです。私は北海道帯広柏葉高校を卒業しました。私は平成25年に現役で合格しました。センター試験では結果が振るわず、756/900点で、予備校による判定は全てD判定と厳しいものでした(合格者平均は800点くらいでした)。志望校を変えるか、とても悩みましたが、担任の先生や家族の支えもあり、そのまま北大医学部を受験しました。成績開示をしたところ、28/102位とまずまずの順位で受かっていることがわかりました(センター試験での北医志望者内の順位は大体130位くらいでした)。私は高校入学時から、特に物理が得意でした。センター試験では90/100点、二次試験では68/75点と中々の好成績を出すことが出来ました。さて、これから私が考える物理の効率の良い勉強法について話していこうと思います。だいたいセンター試験や北大レベルまでの二次試験で物理を必要とする人を想定しています。
物理が嫌いな人や苦手な人は本当に多いと思います。私が高校生だった頃、物理を嫌がる友人はとても多かったです。ですが、私が思うに、物理は他の教科に比べて勉強すれば最も得点が伸びる教科です。物理は、他の理系科目の化学や生物に比べて、特に数学に似ています。ですが、高校物理の範囲では数学ほど複雑な思考を必要とせず、単に数式に当てはめていくだけの問題がほとんどです。また、化学や生物に比べて、暗記することは確実に少ないです。特別な能力を必要としないので、地道に学習を続ければ結果も確実についてきます。
普段の勉強・定期考査対策
さて、これから勉強法について話していきます。物理は他教科に比べて、“やるべきこと”がはっきりしています。それは、『公式を覚えて、問題を多く解く』、これに尽きます。物理が苦手だ、という人の中には公式を覚えていない人がいますが、公式無しに物理は成り立ちません。そもそも、物理学というのは、自然界の現象を法則化して一般化する学問です。まずは教科書に載っている公式を一通り覚えましょう。量は少なくはないですが、決して不可能なほどではありません。このとき、公式を文字だけではなく、何と何が比例しているのか、反比例しているのかなどをしっかり覚えましょう。例えば、電流の公式にI=envSというものがありますが、文字で覚えていると問題文の設定の何と何を使えばよいのかわからなくなってしまいます。eは電子の電荷の大きさを、nは電子の単位体積あたりの数を指している、というところまでおさえてください。
次に、学校で使用している問題集(なければ市販の基本的なレベルのもの)をひたすら解いていきましょう。このとき、解いた問題に印をつけていくと、問題集を何周かするとき効率よく進められます。何の不安もなくできた問題に〇、少し悩んでしまった問題に△、出来なかった問題に×をつけ、2週目以降は△と×のついた問題だけ、テスト前は×のついた問題だけやるなどすればいいと思います。公式は覚えているけど問題が解けないという人は、そもそも公式の使い方を知らないからです。これでは宝の持ち腐れです。公式をどう使えば良いのかを知るには、数多くの問題に触れて問題のパターンを覚えてしまうのが一番早いです。例えば、斜面が絡む問題では、物体の速度や質量を斜面に垂直な成分と平行な成分に分解して考えたり、「観測者から見た物体の速度~」という設定の問題では、物体の速度から観測者の速度を引いた相対速度で考えたりと、問題慣れすることで色々と見えてくるものがあります。また、『壁との物体のはね返りは壁と垂直方向にしか影響がない』『糸はたるむと張力が0になる』など、物理を解くうえで必要になってくる“決まり事”をおさえることができます。要するに、教科書を読むだけでは不十分なのです。まずは、問題を解くことへの抵抗をなくし、間違えた問題をモレなく復習して自分の武器となる知識を増やしていきましょう。問題集は最低でも2周、間違えた問題は3周はしたいところです。1周するのと2周するのでは、知識もそうですが何より自信のつき方が全然違います。2周目以降は、一度は目にしていることもありすらすら進むはずです。センター試験・二次試験ともに問題を解く時間も要求されるので、いかに問題に慣れるかはとにかく重要です。自分に甘えず、やっていない問題を貪欲に消化していきましょう!私は、学校で使用しているレベルの問題集でも、発展問題や応用問題も含めて全てスラスラ解けるようになれば、間違いなくほとんどの大学で合格点は取れると信じています。難しそうな問題集に手を伸ばしたくなるのもわかりますが、まずは持っている問題集を極めたうえで、不十分だと感じれば次の問題集に手を出してみるのもいいかもしれません。決して、1周もしていないうちに他の問題集へと手を出していくのはやめましょう。“やった気でいるだけ”で終わってしまいます。
センター試験・二次試験対策
一通り前述のことをやっていれば、どちらもそれなりには出来るようになっていますが、どちらもクセがあるので対策が必要です。といっても問題を解く、という基本は変わりません。まずセンター試験ですが、みなさんもご存知のようにマーク形式となっています。だからといって簡単というわけではありません。難問ではないけれども見慣れない問題がでてくるので、自分の中でしっかりとした根拠を持って解答する必要があります。そのためには、日頃から答え合わせの時に、間違っていた問題の正解だけを見て満足するのではなく、自分の考え方のどこがダメだったのかを自分に言い聞かせる必要があります。また、センター形式の問題集や模試の復習はとても効果的です。私は、問題集は学校で使った『チェック&演習 数研出版』を用いて練習していました。模試の復習は、出来れば模試を受けた日に解き直しをするのが効果的です。また、模試の問題は保管しておいて2週間後、あるいは1か月後に解き直して全ての問題をミスなくできるか確かめるようにしていました。模試は、判定を出すためだけのものではなく、むしろ復習して自分の力を高めるためのものだ、と考えるほうが余程生産的です。時間はかかりますが、模試の復習は自分をワンランク上げるには欠かせません。特にできなかった模試だけでもいいので、しっかりと復習しましょう。
二次試験対策としては、記述力が必要になります。これも答え合わせの時に正解の値だけを見るのではなく、解答の導き方を参考に学んでいきましょう。本当にきれいに導かれていますよね。問題集は、私は『重要問題集 数研出版』を使って3周ほどしました。他に私の知っている問題集の中では『物理のエッセンス 河合出版』、『名門の森 河合出版』なども良いと思いました。とにかく、自分に合ったものを一冊選んでやっていくといいです。あと、大学入試の過去問集、いわゆる“赤本”は必ずやるべきでしょう。私はまず1年分だけは3年の夏休み前にやり、その大学の傾向をつかんで、残りはセンター試験が終わってからやりました。どういった問題が出るのか、時間配分をどうするか、力学・熱力学・波動・電磁気・原子の比重はどうなっているのか、など学べることは多いです。
最後に
私は、参考書は特別使っていませんでした。分からない問題はなるべく解答の冊子を読んで理解するようにし、どうしてもわからなければ先生に聞いたり、教科書を読み直していました。解答を見て理解できるのとできないでは、問題を間違えるにしても大きな差があります。もし参考書を使うのであれば、解答を理解できないところだけ参考にすればいいと思います。私としては、参考書を隅から隅まで読むのは時間の無駄だと思います。そうするよりも、物理の勉強は自分で決めたノルマの分の問題を解くだけに留めて、残りは別の教科にあてたほうがいいでしょう。
あと、問題を解くときに正確に作図することに精を出している人もいますが、時間の無駄です!もちろん作図やグラフを描くことは重要ですが、問題を解くうえで必要最低限のものをいかに速く描けるか、を意識して練習してください。問題を解く速さはセンター試験でとにかく試されます。日頃から1問1問にかける時間を気にかけ、少しづつ短縮していきましょう。
以上、皆さんの物理学習に少しでも参考になればと思います。
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