物理が苦手な状態から
北大総合理系物理重点1位を取った勉強法
基礎を忠実に
- 北海道大学 総合教育部1年 U講師
- 著者
- 旭川東高校出身の北海道大学総合教育部1年生のU講師(R5年7月現在)。
優しい雰囲気の講師でとても丁寧に指導してくれます。札幌駅北口教室クラスシニアでは立命館慶祥高校生の指導を担当しています。 - 内容
- 物理で得点できない生徒が多い中、物理学習において、何に気をつけて学習していけば良いのかが丁寧に述べられています。物理で受験する生徒にはとても参考になると思います。
はじめに
こんにちは!北大総合教育部1年のUです。高校卒業後、現役で北大総合理系物理重点選抜群にて1位で合格しました。受験時は、理系科目が得意でした。共通テストでは、理系科目(数学ⅠA、ⅡB、物理、化学)を合計すると383/400でした。物理については、共通テストは97/100、2次試験は87/100でした。受験直前には、東大・京大の問題にも太刀打ちできるレベルにはなっていました。
今回、文章を掲載する機会をいただきましたので、私なりの勉強法、思考・答案作成のプロセスをお伝えできればなと思います。
0. 自分を見つめなおす
みなさん、「物理」という科目、好きですか?好きな人もいれば嫌いな人もいると思います。「物理」という科目は理解してしまえば、楽しいのですが、理解するまでが難しいので、「嫌いだ!」と思い、何も勉強する気が起きない人が多いと思います。私も学び始めたころはそうでした。「なんだ、この難解な科目は!」と思い、ほったらかしにしていた時期がありました。ですが、「このままではいけない!」と思い、高校2年生の夏ごろから対策を始めました。はじめはミスをしてもいいので、まずはやってみましょう!ミスは恥ずかしくなんてないです、むしろ変なプライドを持って何もしないでいる方が後々、後悔すると思います。まずは一歩踏み出しましょう!
1. 基礎を徹底的に!
基礎は大事です!というか、基礎がないと何も始まりません。物理が苦手だという人のほとんどは、ここでつまずいていると思います。厳しいことかもしれませんが、基礎を疎かにしたまま受験に挑んでしまうと99%志望校に合格できません。いうなれば、ピラミッドです。「基礎」の上に「応用」があり、そしてその上に「発展」があります。そして、そのピラミッドの高さをどれだけ高くできたかが合否に関わってきます。基礎がしっかりしていないと、高くすることができませんよね?基礎が弱かったり、狭かったりすると崩れていきます。「自分は大丈夫だ!」と思っていても、大丈夫じゃない状態かもしれないので、一度初心にかえって基礎固めをすることも重要です。
基礎を固める上で大事になっていくのは、【作図】です。高校時代に色々な人を見てきましたが、やはり、物理が苦手な人に共通して作図が正確にできていない、又は作図をせずに問題に取り組んでいる人が多かったです。高校物理の問題の種類は、力学、熱力学、波動、電磁気、原子とありますが、大学入試で出題される問題のほとんどは、力学の問題に帰着します。もちろん、ほかの分野の知識が必要になりますが、どの分野でも力学の考え方が必要になってきます。力学はやはり作図しないと理解しがたい分野です。つまり、作図さえできてしまえば、方針を考えたり、立式することができたりするわけです。
作図をするときに、特に注意すべきことは、
- 作用反作用の力を正確に書く
- どの物体に力がかかっているか分かりやすく書く
- 力は「スカラー量(たんなる値)」ではなく「ベクトル量(値と方向の2つもつ)」であることを意識!
- 力の分解をするときは、分解方向に気を付けて書く
の4つです。高校物理では、ニュートン力学(古典力学)を扱っているので、時間変化によって力が変わる場合があります。なので、時間ごとに作図するのもいいでしょう。
私が基礎固めに使った、問題集は『セミナー物理』です。学校で配布されている問題集があれば、それを使ってください!まず、問題を解く前には必ず作図しましょう!最初は、「ゆっくり、丁寧に」作図してもいいですが、慣れてきたら「早く、正確に」作図をしましょう。そして、作図出来たら方針を考えたり、立式したりしましょう。方針と式さえ出てしまえば、あとは数学と同じように計算ミス・文字ミスをしなければ、必ず解けますので1つ1つ丁寧に解答していきましょう。作図がしっかりとできたり、計算ミスをしなくなったりするまで、特に間違えた問題は周回しましょう。
2. 応用・発展に入る前に
基礎がある程度固まって、「さぁ、応用・発展に入ろう!」と思う前に、もう少し基礎の部分をほかの人より強くしませんか?
私の通っていた高校では、オリジナルの「高校物理公式導出集」なるものが配られていました。これは高校物理で習う全公式を導出するための問題集です。私はこれを使って、公理、定義から公式を導出したり、公式をパッと使えるように覚えたりしました。今思い返せば、これのおかげといっても過言ではない気がします。
つまり、何が言いたいかというと、「公式の定義を間違っていませんか?公式を正確に導出できますか?公式がパッっと思い出せますか?」ということです。大学入試では、公式の導出が丸々問題として出題されることがあるので、覚えていれば、すぐに取り掛かることができて時短につながります。また、万が一、公式を忘れたとしても、導出できれば問題なく解くことができるはずです。私も実際、解答時間を30分程度余していたので確認・見直しも兼ねて導出をしていました。
3. 応用・発展
基礎が盤石になってきたら、応用・発展に入りましょう!基礎がしっかりしていれば、何かしら太刀打ちはできるはずです。そして、何かしら太刀打ちできた中から、応用・発展問題を解く上でのヒントを自分なりに研究してみましょう!全く歯が立たなかったら、基礎を復習することをおすすめします。基礎を復習している中で、新たな発見があるかもしれません。
応用・発展問題を対策する上で、私が使っていた問題集は『物理重要問題集』と『名問の森』です。この2冊は、もう定番中の定番です。参考書で迷ったらこれを使っておけば、問題ないと思います。入試問題で出題される典型問題を広く網羅しているので、うってつけだと思います。
しかし、参考書が自分に合っているものであるかには個人差があるので、必ずとは言えませんので、自分に合ったものを探すことをおすすめします。
4. 応用・発展問題も解けるようになったら
このパートは、応用・発展問題が解けるようになって、さらに上のレベルを目指したい!という方向けです。
私が使っていた参考書は、『難関大入試 漆原晃の物理解法研究』です。この参考書は、基礎をものすごく重要視しており、高校物理の本質をとらえ、かつ大学レベルの内容も多少扱っているものとなります。応用・発展問題で力を付けた後に、この問題集をやってみるとうまい具合に挫折を経験させてくれます。
例えば、「万有引力や荷電子間の位置エネルギーにはなんで”-“がつくの?」「運動方程式にはどういう意味があるの?」「この近似式ってどういう意味?」などです。
私は、ここで基礎がまだ足りていない部分があると気づきました。つまり、定義や意味、導出された背景などもおろそかにすることはできないということです。
5. その他学習上でのポイント
物理の問題を解いていると(その他の科目でもそうですが)必ずミスをしますよね?ミスをした後に、なにかアフターケアをしていますか?何もしていないと、大変な目にあう可能性があります。私はミスをしたら必ず、「ミス集ノート」を作っていました。「こういう場合にミスをしやすい」「こういうところに気を付けた方がいい」などをまとめたノートを作っていました。これを作っていたおかげでケアレスミス、凡ミスが格段に減ったと思います。ただそれでも、ミスをしてしまうもので、私自身、本番の2次試験でもケアレスミスで13点落としてしまい、満点を逃してしまいました。ただ、ノートのおかげでものすごく点数を落とすことにならなくてよかったなと感じています。
また、僕の場合は『セミナー物理』『物理重要問題集』『名問の森』の典型問題は、ほぼ暗記していました。もちろん暗記といっても闇雲に暗記するのでなく、解法のプロセスの意味を理解したうえで暗記していました。そのおかげで、どの問題にも迷うことなく方針を立てることができました。物理は厳密に解こうとすると、楕円積分、微分方程式、シュレーディンガー方程式、テイラー展開など、高校では習わないような知識が必要になってくるので、出題される問題には限りがあります。そのため、典型問題の解法のプロセスを上手く組み合わせ応用することで、ほぼすべての問題を解くことができます。なので、時間がある方は解法のプロセスを暗記してみるのもいいかもしれません。
6. 最後に
以上、長くなってしまいましたが私が意識してきたことを書かせていただきました。
一番大切にしてほしいことは、「基礎を徹底すること」です。自分ではできた!と思っていても、実はできていなかったなんてことが多々あります。友達や学校の先生にお願いして、基礎ができているかチェックしてもらってもいいと思います。基礎に忠実に勉強していくことが成績UPの近道となります!
大学入試の物理で出題される問題のほとんどは、典型問題ですのであまり重く考えずに、気楽に楽しく勉強を進めてもらえたらなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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